小栗康平 手記
「FOUJITA」 パリでの撮影
2014/10/10
クローディー・オサールと
パリに入って2週間が経ちました。予定の半分です。
雨になっても、一日中雨、ということでもなく、やりくりしながら、です。でも全体としては順調です。
撮影、照明、録音の技術パートは日本チームです。グリップと言っているカメラまわりをみる人、ゼネレーターや照明機材に関わる人、製作、美術はパートは全員フランスからと、ちょっと混み入った編成です。しかしそこは映画屋同士、コミュニケーションはうまく行っています。
ただ、労働環境はまったく日本とは異なっていて、働く人の権利が徹底的に守られていますから、とにかく終わるまでまでやって、などということは考えられません。土曜、日曜日は働きません。働かないわけではないのですか、2倍、3倍とギャラが上乗せされますから、よほどのことがない限り、そうしたスケジュールは組めません。労働環境というよりは、映画を取り巻く考え方そのものが、歴史的にも大きく違っています。思いは複雑です。
法令で街の景観が保たれているパリとはいえ、一階から下は当然ながら変わっていますから、映画で設定している1920年代のパリをそのまま撮れるところは、やはり皆無です。銀座のど真ん中で時代劇を撮るような苦労が付いて回っています。東欧のどこかで、と言った考え方もないわけではなかったのてすが、パリに留まって良かったと思っています。粘り強く工夫し、CG作業もフル動員して、100年近く前のモンパルナスを画像に作り込んでいます。再現ではありませんから、私たちの見るパリ、ですね。いい味が出ていると自負しています。フランスプロデューサーのクローディーをはじめとして、こちらのスタッフもトレビアンを連発してくれます。
モンパルナス、ロトンドの設定で
時間がなくて、詳細はまた後日に。
小栗康平