小栗康平 手記
芝居のよろこび
2025/04/13
先日、私と同じ歳の役者が主演しているというので、映画を見に行った。老いて、ある妄想が突き上げてくるという、その妄想の中身に関心があったわけではない。いったい八十に近い男の顔が映画でどう写るのか、それが知りたかったからだ。...
針穴
2025/03/03
佐伯剛さんの初めての写真展「かんながらの道」でトークに呼ばれて行って来た。二週間ほど前のことで、写真展は盛況のうちに終わったようだった。写真はすべて「針穴写真」である。折角だからこの手記で触れておこうと思っていたら、佐伯...
訂正とこころからのお詫び
2025/01/21
李恢成さんの著書を読み返えしてみようと書棚を漁っていたら、派手な装丁の本に目が留まった。大きな文字が表紙一杯に書かれている。「金石範 なぜ書きつづけてきたか なぜ沈黙してきたか 金時鐘」とあって、その全体がこの書籍のタイ...
哀悼
2025/01/20
朝九時ちょうどに携帯が鳴った。知らない番号だったのでそのままにしていたら、留守番電話に音声が残った。開いてみると、李恢成さんの次男からだった。父が一昨日の午後、病院で亡くなりました。今日、家族葬で小さく、火葬場へ行きます...